PROGRAM
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ナッシュ『セル』(日本初演)
鈴木竜『AFTER RUST』(日本初演)

ダンスクロス

  • 2.15 [fri] 19:30
  • 2.16 [sat] 15:00
  • 2.17 [sun] 15:00
@横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール

コンペティションⅠ「若手振付家のための在日フランス大使館賞」受賞者と、2018年度ヴィラ九条山レジデントのフランス人アーティストによる作品上演。
アンスティチュ・フランセ日本とのパートナーシップによって開催されます。

ナッシュ『セル』(日本初演)Nach

Photo: Raphael Stora

クランプ(krump)※を題材にしたデヴィッド・ラシャペル監督のドキュメンタリー映画『RIZE-ライズ-』との衝撃的な出会いを機にリヨンやパリのストリートでクランプを学び、キャリアをスタート。コンテンポラリーダンスの振付家エディ・マーレムの代表作に出演するなど、他ジャンルと対峙しながら発展させた表現で世界の注目を集める。
2018年には京都のヴィラ九条山に滞在し、麿赤児など第一線で活躍するアーティストとの交流によって、自身のプロジェクトにおけるテーマを深めた。作品づくりについてナッシュは、「心の中の光と影の領域を探究し、両性具有的な曖昧な身体と戯れること。つまり一つの体の中で、二つの存在が対話することである」と話す。それはあらゆるクランプアーティストと同様、ナッシュとは彼女自身であり、彼女の分身、つまり人格を持ったもう一人の人物であるからだ。
処女作となる『セル』は、舞台の壁面にクローズアップされた絡み合う身体の映像が投影される。人種差別に端を発するロサンゼルス暴動への応答として、2000年代に生まれたクランプ。ナッシュは先達のアーティストたちへのリスペクトを込めながら、同時に過去から解放された、自分自身のクランプを提示する。

※クランプ(krump)は、全身を大きく使った、パワフルで威嚇するような動きを特徴としたダンス。ストンプ(足を踏み付ける)・チェストポップ(胸を突き出す)・アームスイング(腕を振り下ろす)の3つの動きを基本とし、戦うことなく、エネルギッシュに感情、創造力、自分のライフスタイルや生き様を表現する。

  • 振付・出演・テキスト・イメージ:ナッシュ
  • 舞台美術・照明デザイン:エマニュエル・テュソール
  • 技術監督・サウンドデザイン:エマニュエル・テュソール
  • 製作:Nach Van Van Dance Company
  • 制作:MANAKIN(ロラン・ボワイエ&レスリー・ペラン)
アンヌ=マリ・ヴァン Photo: Jade Joannes

ナッシュ

ナッシュ(Nach)が最初にダンスを学んだ場所は、ストリート。クランプ(KRUMP)を題材にしたデヴィッド・ラシャペル監督のドキュメンタリー映画『RIZE-ライズ-』との衝撃的な出会いを機に、リヨン歌劇場の前の広場や、パリでクランプの練習を始める。
2013年にはエディ・マーレムのカンパニーに所属し、コンテンポラリーダンスを学ぶ。その後、新たな出会いと様々な分野の芸術家とのコラボレーションを求めて、演出家のジャン=ポール・ドゥロールと一緒に、ライブ音楽、演劇、文学(ソニー・ラブ=タンシとデュードネ・ニアングナ原作によるテキスト)や映像などを織り交ぜたマルチジャンルのパフォーマンスを提案する。また、自分の身体ボキャブラリーを豊かにするため、インドのカタカリや、韓国やセネガルの伝統的な舞踊など、アフリカやアジアのダンスをはじめとした伝統芸能も積極的に取り入れていく。さらに文学や写真、オーディオヴィジュアル・アートなど、幅広く多様な芸術表現からインスピーレーションを得ている。 ナッシュは2018年度ヴィラ九条山レジデントアーティストです。ヴィラ九条山はアンスティチュ・フランセ日本の5つの支部の1つで、ベタンクールシュエーラー財団とアンスティチュ・フランセの支援を受けています。

鈴木竜『AFTER RUST』(日本初演)Suzuki Ryu

©Maria Stefanescu

横浜ダンスコレクション2017で、若手振付家のためのフランス大使館賞、MASDANZA賞、シビウ国際演劇祭賞をトリプル受賞した鈴木竜。英国<フェニックス・ダンス・シアター>ほか、アクラム・カーン、シディ・ラルビ・ジェルカウイ、フィリップ・デュクフレ、平山素子、近藤良平など、世界的に活躍するアーティストの作品に多くの出演実績をもつ。鈴木が2017年のフランスでのレジデンス中に制作し、フランス、中国、ベトナム、ルーマニアのシビウ国際演劇祭で上演した『AFTER RUST』が、待望の日本初演となる。本作は「“錆(さび)”の後には何が起こるのか?」という問題意識にもとづき、自身の肉体的、そして精神的な錆をテーマとした作品だ。振付家としての自身の身体言語を探求するソロ作品。

  • 振付・出演・美術・テキスト:鈴木竜
  • 協力:eltanin、NPO alfalfa、リリュー・ラ・パプ国立振付センター
鈴木竜 Photo: Hata Satoshi

鈴木竜

横浜に生まれ、山梨・和歌山・東京で育つ。英国ランベール・スクール卒。在学中、<ランベール・ダンス・カンパニー>のイツィック・ガリーリ振付『A Linha Curva』に出演、全英ツアーに参加。卒業後、<フェニックス・ダンス・シアター>に入団、ほとんどの作品に主要メンバーとして出演。ロンドンオリンピック開会式ではアクラム・カーン振付セクションに出演。帰国後は日本を拠点にダンサー・パフォーマーとして、シディ・ラルビ・シェルカウイ、フィリップ・デュクフレ、<インバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンス・カンパニー>、テロ・サーリネン、平山素子、近藤良平、小尻健太、夏木マリなどの世界的に活躍するアーティストの作品に出演。自身の振付作品『Agnus』は第3回セッションベスト賞(神楽坂セッションハウス)を受賞した。