カラヴァッジョ作『愛の勝利』(1602)、マチュー・カソヴィッツの映画『憎しみ』(1995)にインスピレーションを受け、フランス、イスラエルでの学びを反映させた新作ソロパフォーマンス。柴田は謎めいた絵画に二項対立や固定観念に対する挑発を、移民問題を扱った映画に多文化共生の困難を読み取り、現代社会のジェンダー、アイデンティティ、宗教のテーマを発展させる。フランスのレジデンスで得た新たなムーヴメントの視点、ストリートダンスとマイムの融合を取り入れた動きの内部には、自身がフランス、イスラエルで目撃した権力に対する市民の激しい抗議活動の記憶も響いている。観客を巻き込み、現代を問うダンス。
柴田美和『Victorious Cupid』
ソア・ラツィファンドリアナ『g r oo v e』
ダンスクロス
- 12.04 [Mon] 19:00
- 12.05 [Tue] 16:00
柴田美和Shibata Miwa
『Victorious Cupid』
- 振付・出演: 柴田美和
- 共催: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
- 助成: ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル
- 協力: フランス国立ダンスセンター(CN D)
柴田美和
幼少からモダンバレエを学び、日本大学芸術学部演劇学科洋舞コース卒業。ダンサーとして西沙織、柴田恵美らの作品に出演、自作の振付の発表も始める。強い感情を秘める洗練されたムーヴメント、優れた色彩・造形のセンスを持ち、映像作品の制作やビジュアルアーティストとのコラボレーションも行う。2021年2月のYDCコンペティションIで女性ダンサー6名に振り付けた『Oblivion』を上演、在日フランス大使館賞を受賞した。翌年フランス国立振付ダンスセンター(CN D)にて3ヶ月のレジデンスを経験し、その後もフランス、イスラエルで制作を行う。現在はベルリンを拠点に活動する。
ソア・ラツィファンドリアナSoa Ratsifandrihana
一瞬で心を掴む音楽、ダンスがSNSに溢れる時代に、ラツィファンドリアナは敢えてじっくり踊りの本質に迫る。四方を客席が囲む中で展開するダンスは、エレクトロとノイズの2人のミュージシャン、照明、そして観客との関係性で刻々と変化する。コンテンポラリー界トップクラスの技術に加え、振付家は自らのルーツであるマダガスカルの踊り「アファンドラファンドラオ」、初めて覚えた1960年代アメリカのダンス「マディソン」、リスペクトするフランスのポッピンダンサーPepitoを引用し、個人史を社会に繋いでいく。 ゼロからリズムが構築され、ひとつの身体が驚くほど多彩な景色を生み、空間が息づき、熱を帯び、すべては“グルーヴ”へ向かう。
『g r oo v e』
- コンセプト・振付・出演: ソア・ラツィファンドリアナ
- 音楽: シルヴァン・ダリフルク、アルバン・ムレンジ
- 衣装: ココ・プティピエール
- 衣装アシスタント: アンヌ・テッソン
- 照明デザイン: マリー=クリスティーヌ・ソマ
- 照明: シュザンナ・バウアー、ディアーヌ・ゲラン
- 音響: ギレム・アンゴ、ジャン=ルイ・ヴァフラール
- アーカイブ、外からの視点: ヴァレリアンヌ・ポワドゥヴァン
- 外からの視点: ティマイ・グエン
- 制作: ama brussels (フランス・モラン、クララ・シュミット)
- 謝辞: セシル・ペリション、ミレーヌ・モンジュール
- 共同製作: Atelier 210, Charleroi danse, MARS – Mons Arts de la Scène, La Place de la Danse – CDCN Toulouse Occitanie, workspacebrussels, T2G – Théâtre de Gennevilliers, Centre Dramatique National, la Soufflerie – scène conventionnée de Rezé
- 協力: ワロン・ブリュッセル連盟
- 助成: CNDC – Angers, La Place de la Danse – CDCN Toulouse Occitanie, Charleroi danse, Centre National de la Danse, Point Culture, PARC Performing Arts Research Centre, GC De Kriekelaar, Kaaitheater, Iles asbl
- 共催: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
- 助成(横浜公演): ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル
ソア・ラツィファンドリアナ
マダガスカルにルーツを持つフランスのダンサー/振付家。パリ高等音楽舞踊学校でダンスを学んだ後、アンヌ・テレサ・ド・ケースマイケル、ボリス・シャルマッツら先鋭的な振付家の元で活動。優れた音感とテクニックを持ち、出演したローザス『ファーズ』がNYタイムスの2019年ベスト・ダンスに選ばれるなどダンサーとして高い評価を得る。振付家としては、ミュージシャンや振付家とのコラボレーションで活動を開始(2016年『Tendimite』、2020年『Folia』)。『g r oo v e』は初の個人作品だが注目を集め、2021年ブリュッセル初演後、欧州の25都市で上演されている。現在はブリュッセルを拠点とし、実験的劇場カイテアターの2023-25年レジデンス・アーティスト。