映像と身体の関係を探求したソロ『Contact Shots』でヨコハマダンスコレクション2024コンペティションII最優秀新人賞を受賞した福永将也の新作は、「記録媒体としての身体とマテリアルについての実践」がテーマ。本作では、伝統的な記録媒体であり所有も使用も容易な”紙”と身体が対峙する。紙に書かれた情報は重さがないが、視線を媒介してパフォーマーの身体の一部となって質量を獲得し、実体を現す。「振付を紙に書き記し、その記録を参照しながら立ち上げる行為」を鍵として、無意識のうちに高度に情報化され、バーチャルとリアルの間を目まぐるしく行き交う私たちの身体のあり方を、観客に提示する。
福永将也『loafer』
ダンスコネクション
WETTRIBUTE『TU YO AWITA Y CHIRIMOYA』
ダンスコネクション
- 12.05 [Fri] 19:30
- 12.06 [Sat] 15:00
福永将也Fukunaga Shoya
『loafer』
- コンセプト・振付・出演: 福永将也
- 音楽: tatsukiamano
- リサーチ協力: 吉岡あおい
- メンター: 敷地理
- 協力: スタジオアーキタンツ(ヨコハマダンスコレクション2024コンペティションII アーキタンツ・アーティスト・サポート賞 贈賞)
福永将也 Fukunaga Shoya
10代でヒップホップからダンスを始め、大学で情報とメディアを学ぶ傍らダンサーとして活動を続けるなかで、「行為への共感・対象としての遠さ、その間にある浮遊感」を手掛かりとした上演作品の制作を開始する。横浜ダンスコレクション2024 コンペティションIIにて身体の実像と映像の関係性を探るソロ『Contact Shots』を発表し、最優秀新人賞とアーキタンツサポート賞をW受賞。ダンス、映像、光のメディア性に注目し、選び抜かれた音響、照明、オブジェによって繊細に構築した環境のなかにリアルな身体を提示する福永の作品は、高度に情報化された私たちの身体をめぐるスリリングな哲学的思索へと観客を誘う。
WETTRIBUTE
スペインで2022年に結成されたカンパニーWETTRIBUTEが提案するのは、観客と現実と夢想の境界を遊ぶ、ゆるやかな空想の旅。ソフトな音楽が流れるなか、くつろぐカップル(アンドレア・ペレスとアビアン・エルナンデス)。けれども平凡な一日の終わりは、二人が操るスムースでオーガニックなムーヴメント、多様なダンスのボキャブラリーによって異なる5つの情景へ次々と変化していく。月並みなナラティヴに依拠しない展開は独特な浮遊感を生み、饒舌な身体は場面ごとに愛情やユーモア、激しさや強さといった印象やさまざまな感情で観客と空間を包み込む。初演以来、スペイン国内外で上演を重ねる作品の日本初演。
『TU YO AWITA Y CHIRIMOYA』
- 振付: WETTRIBUTE
- 出演: Andrea Pérez、Abián Hernández
- 照明: Andrea Pérez
- 助成: 駐日スペイン大使館
WETTRIBUTE
2022年に設立されたWETTRIBUTEは、ダンス、パフォーマンス、動画、写真等の身体の関連する領域で活動するカナリア諸島(スペイン)拠点のカンパニー。芸術監督のダニエル・フェルナンデスはバレエ、コンテンポラリーを学んだ後にスペイン、ドイツのカンパニーで踊り、振付作品の発表を開始。その作品はマスダンツァはじめ国内外のフェスティバルで上演されている。共同クリエーターのアンドレア・ペレスは振付、パフォーマンス、コンテンポラリーダンスを学んだ後にナタリア・メディナ・ダンスカンパニーで踊り、現在はフリーランスとして活動。スペイン国内のプロジェクトに参加する一方、自身の振付作品を発表している。


