「縁側」は、伝統的な日本家屋において内と外をゆるやかにつなぎ、庭や季節を感じ、風や光を招き入れながら、人と暮らしをひらいてきた。2024年に赤レンガ倉庫の振付家に就任した小㞍は、建築家ハネス・マイヤーとともに横浜で2年間の共同リサーチを行い、縁側を多角的に考察。その中で「あいまいさ」という象徴的な価値に注目した。 小㞍は、私と外界―社会や自然―とのあいまいな境界を縁側ととらえ、そこを「身体が季節を受けとめ環境と融け合う空間」「記憶が回帰し共有される場」と定義し、小㞍を含む6人のダンサーによってその空間を繊細に立ち上げる。効率やテクノロジーを優先する世界から失われた豊かさを問い直すこのダンスは、それ自体がアートと社会をつなぐ新たな Engawa になるだろう。
PROGRAM
5
小㞍健太<SandD>『Engawa, The Self in Season』
建築家/アーティストのハネス・マイヤーとの共同製作
- 12.05 [Fri] 19:30
- 12.06 [Sat] 13:00
- 12.06 [Sat] 18:00
@横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
小㞍健太<SandD>Kojiri Kenta<SandD>
© momoko japan
『Engawa, The Self in Season』
- 振付演出・コンセプト: 小㞍健太
- セノグラフィー・コンセプト: ハネス・マイヤー
- 出演 : 鳴海令那、佐藤琢哉、堀田千晶、畠中真濃、青柳潤、小㞍健太
- 音楽: tatsukiamano
- 企画制作: SandD
- 共催・共同制作: 独立行政法人国際交流基金
- 協力: 急な坂スタジオ、特定非営利活動法人黄金町エリアマネジメントセンター、スタジオアーキタンツ

小㞍健太 Kojiri Kenta
振付家・ダンサー。変容する身体の「いま」を見つめ、記憶へと変わる感覚を表現の核とする。ローザンヌ国際バレエコンクール受賞後、モナコ公国モンテカルロバレエ団、ネザーランド・ダンス・シアターに在籍。退団後はフリーランスとして活動。2017年にSandD(サンド)を立ち上げ、近年はパリ日本文化会館やフランス国立ダンスセンターに招聘される。大阪・関西万博、ミュージカル『エリザベート』、フィギュアスケートとのコラボレーションも手がける。現在、横浜赤レンガ倉庫1号館振付家。

ハネス・マイヤー MAYER Hannes
建築家・アーティスト。ドイツを拠点に、デジタルテクノロジーとエコロジカル・トランスフォーメーション(環境変革)に焦点を当て、建築を越境した活動を展開。建築におけるロボット工学の世界的研究機関であるチューリッヒ工科大学にて建築およびデジタルファブリケーションの研究を主導し、ポンピドゥー・センター、ヴェネチア・ビエンナーレ等で大規模なインスタレーションを発表。黄金町エリアマネジメントセンター(2024年)、フランスのマーテル企業財団(2025年)に選出されている。