2023年にソロ『EAT』で YDCコンペティションII の最優秀新人賞を受賞した髙橋春香は、現在も大学文学部に在籍する若いダンサー/振付家。今回の新作では、「振付とは何か」を考え、その概念を解体・再構築することを目指す。髙橋は、振付をダンスのためのものに限らず、アフォーダンス(環境が私たちに与える価値)やあらゆる場面での指示、それを可能にする権力装置だと仮定する。意識せずとも自身の行動が環境やモノから影響を受けていないか。「国家予算は振付か?」「マナーは振付か?」など、身体をもって観客に問いかける。
髙橋春香『正しい箸の使い方(あるいは拡張するマインドマップ)』
ダンスコネクション
カルメン・フメロ『A journey to her voice』
ダンスコネクション
- 12.06 [Fri] 19:30
- 12.07 [Sat] 15:00
髙橋春香Takahashi Harka
『正しい箸の使い方(あるいは拡張するマインドマップ)』
- 振付・演出: 髙橋春香
- 出演・振付: 椛島 一、小林寿理、田中来夢、清水祐紀凪
- 舞台美術・振付: ほりこし りこ
- 協力: 丸尾定四郎
髙橋春香
2002年、東京に生まれる。高校の創作ダンス部の活動を通して本格的にダンスを始め、大学入学後にコンテンポラリーダンスに出会う。ダンサーとして田村興一郎、asamicro の作品に出演し、自作の振付の創作を始める。「生きるうえで必要な行為やシステムが、私たちの最大の脅威と暴力である」という気付きを創作の核とし、2023年には YDCコンペティション II で『EAT』を上演して最優秀新人賞を受賞した。現在も慶應義塾大学文学部に在籍し、学術的なインプットと身体を用いたアウトプットの往復から「振付」を再定義する。労働や日常生活に見える“振付的”なものに関心を持ち、舞台に限定されないパフォーマンス作品を制作している。
カルメン・フメロCarmen Fumero
マドリードを拠点として活動するダンサー/振付家、カルメン・フメロのソロ。2021年にハンガリーのタッチポイント・アート・ファンデーションのメンタープログラムで、ディレクターのバタリタ氏をメンターに制作され、ブダペスト国際パフォーミングアーツ・ビエンナーレで初演された。陰影の美しい照明と女声の歌唱が時間と空間を超越した荘厳な空気を立ち上げ、ダンサーはそのなかで静かだが極めてフィジカルな振付を踊る。怒りと赦し、弱さと強さ、喜びと苦しみ、不安と安逸、否定と肯定・・・。さまざまな矛盾を行き来し、あるいは同時に生き、内に秘めたまだ見ぬ場所へと向かう孤独な旅を続ける。まだ見ぬ自分に出会うために。
『A journey to her voice』
- 演出・振付: Carmen Fumero
- メンターシップ: Batarita, Touchpoint Art Foundation’s Mentor Program 2021.
- アーティスティックアドバイス: Miguel Zomas
- 音楽: Iván Cebrián
- 照明デザイン: Alfredo Díez
- 衣装: Carmen Granell
- 助成: 駐日スペイン大使館
カルメン・フメロ
マドリッドを拠点とするダンサー、振付家。カナリア諸島テネリフェ島に生まれ、マドリードのマリア・デ・アヴィラ高等舞踊学校(CSDMA)でダンスの学位を取得した後、スペインでアントニオ・ルイス、秋山珠子ら、著名な振付家の元やカンパニーでのダンサーとして活動。2013年からミゲル・ゾマスと共同して振付作品の発表を始め、2015年に発表した三島由紀夫の『肉体の学校』に着想したデュオ『eran casi las dos』は第29回マドリッド振付コンテスト1位となった。2017年に発表した『Un poco de nadie』のジェイコブズ・ピロー・フェスティバル上演をはじめ、作品は国内外の劇場やフェスティバル、チェコ、ドイツ、イタリア、アメリカ、ブルキナファソ、台湾、マレーシア等で上演されている。