TICKET

PROGRAM
9

HOTPOT. Hong Kong

第6回 HOTPOT 東アジア・ダンスプラットフォーム


  • 12.11 [Wed] 19:00
@KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオ
※託児サービスあり。公演1週間前までに要予約・有料(マザーズ:0120-788-222)

<プログラム> 香港拠点アーティストによる4公演

チャン・ワイ・ロク / ラリー・シュエン『Stolen Ears; Muffled Bell』

建築を学んだ後にダンスに転じたチャン・ワイ・ロックと、マルチメディア&サウンドアーティストから振付の世界に入ったラリー・シュエンが協働し、ダンスと音楽の関係性を新しい方法で可視化する。ライブ演奏を行うミュージシャンの身体を振付・演劇の要素と捉えたうえで、ふたりはこの前提を逆転させ、ダンサーの動きが音楽を生みだす可能性を探っていく。チャンとラリーは自ら振付け、出演して、ミュージシャンは音楽の演奏者であり、ダンサーは音楽の視覚的表現者であるという、伝統的な関係の力学を変容させていく。音と視覚が結びつき、ムーヴメントから音楽を知覚する、これまでにない実験性に富んだダンス体験となるだろう。

『Stolen Ears; Muffled Bell』
振付・出演:Chan Wai Lok
振付・マルチメディア&サウンドアート・出演:Larry Shuen
助成:香港芸術発展局

本作品のコンセプトおよびアイデアは、WestK の “FIRST CreationPlatform” において考案・具体化された。

ジャスティン・リー『Does My Body Represents My Whole Self(Solo-Together)』


© Jesse Clockwork

ジャスティン・リーは古典的な美意識と伝統を打破する劇的なムーヴメントの対照が鮮やかな振付作品を発表し、香港ダンスアワード受賞など国内外で高く評価されている。この作品ではタイトルが投げかける「私の身体は私のすべてを表しているのか」という問いをめぐり、振付家はダンサーのサム・ユエンとの緊密なコラボレーションを進め、ソロダンスを丹念に織り上げた。バレエとモダンダンスがベースにあるなめらかなムーヴメントは、ひとりの人間の外界との関係、内面の葛藤や自己理解のテーマを包み込み、ダンサーのリアルな感情と結びついて展開する。孤独は変容して弱さは強さとして現れ、揺れ動く人間の姿をダンスは繊細に綴っていく。

『Does My Body Represents My Whole Self(Solo-Together)』
振付:Justyne Li
出演:Sam Yuen

ウー・ヤット・ヘイ『Traffik Is-Land』


© Maximillian Cheng

コンテンポラリーダンスと演劇のパフォーマーとして活動するウー・ヤット・ヘイが、自ら振付け、出演するソロ。振付家は海上の埋立地に魅了され、そこからインスピレーションを得て、生活空間と仮想空間の中間に位置する場所の創造へと向かう。交通島(traffic island、車両走行の制御や歩行者保護を目的として交通路に設置される区域)から骨董品の密売(trafficking)まで、トラフィック/交通の概念を鍵とした言葉遊びと連想が生むさまざまなイメージが交錯するなか、身体は空間にロジックを打ち立てることを試みる。ダンスが予測と予測外の間を往還するゲームとなるとき、そこから何が現れるだろうか?

『Traffik Is-Land』
振付・出演:Woo Yat Hei

本作品のコンセプトおよびアイデアは、WestK の “FIRST CreationPlatform” において考案・具体化された。

KT ヤウ・カーヘイ『The moment 刻』


© Jesse Clockwork

KT ヤウ・カーヘイはダンス、演劇、パフォーマンスの領域を横断してアートの慣習を問い直し、観客の思考を刺激する作品で知られている。「ライフ・ドローイング」と題したリサーチにおいて、ヤウは自身の裸体を提示し、それを描く人(母親、過去の恋人、肖像画家)によって主体と客体の間に異なる複雑な力学が生じることを明らかにした。この探究を踏まえて、ヤウは自身が振付け、出演するこの作品においてステージ上の受動的な客体に留まらない身体のありかたを探る。ダンスは既存の視覚芸術の鑑賞の枠組を超えて観客との関係性を創造する方法を探り、コンテンポラリーダンスにおけるパフォーマーと観客をめぐる考察に向かう。

『The moment  刻』
振付・出演:KT Yau Ka-hei
ドラマトゥルク・リハーサルアシスタント:Dong Yan
助成:香港芸術発展局

本作品のコンセプトおよびアイデアは、WestK の “FIRST CreationPlatform” において考案・具体化された。

  • 第6回 HOTPOT 東アジア・ダンスプラットフォーム

    ダンスのつくり手をサポートする東アジアの3つのフェスティバル、City Contemporary Dance Festival(香港)、SIDance(ソウル)、ヨコハマダンスコレクションが協働して2017年から展開する「HOTPOT」の6回目の開催。東アジアを拠点に活躍する11組の振付家が作品上演やプレゼンテーションを行い、国内外のプログラマーとの対話・交流プログラムに参加します。

    主催:ヨコハマダンスコレクション、City Contemporary Dance Festival、SIDance
    共催:YPAM(横浜国際舞台芸術ミーティング実行委員会)
© Lee Wai-leung

チャン・ワイ・ロク

振付家・パフォーマーのチャン・ワイ・ロックは香港中文大学で建築学を修めた後、ダンスをザルツブルク・エクスペリメンタル・アカデミー・オブ・ダンス(SEAD)で学び、奨学金を得てベルギーの P.A.R.T.S. でも学んだ。ライブと映像で提示されるパフォーマンスを提示する『POV』(上演版および映像版・2021)、ムーヴメントとパフォーマンスをめぐる想像力を刺激する『In the Cloud』(2022)等、観客に解釈の余地を与え、感覚を刺激する振付作品を制作する。香港を拠点とし、ラリー・シュエンとは『In the Cloud』からコラボレーションを行う。

© BunBun

ラリー・シュエン

マルチメディア&サウンドアーティストのラリー・シュエンは振付家やダンサーと協働を行うとともに、自身もミュージシャンの動きのクリエイティヴな可能性を探求している。香港を拠点とし、チャン・ワイ・ロックとは『In the Cloud』からコラボレーションを行う。

© Wong Tan Ki

ジャスティン・リー

香港を拠点とするインディペンデントなダンスアーティスト/振付家。Hong Kong Academy for Performing Arts でバレエとモダンダンスを学び、香港バレエ、オーストリアのタンツ・グラーツ、ドイツのブレーマーハーフェンバレエで、ソリストとして活動した後、2010年に Wong Tan Ki と共同で Neo Dance HK を設立した。香港バレエや、シティ・コンテンポラリー・ダンスカンパニー、ブレーマーハーフェンバレエ等に振付作品を提供し、2011年には『Galatea & Pigmalion』、2014年には『Flatea X』で香港ダンスアワードを受賞、『Division』で第7回エルサレム国際振付コンペティション1位を受賞。映像作品『Come Rain or Shine』(2019)も、複数のダンスフィルムフェスティバルで賞を受けている。

サム・イウン

香港生まれ。2021年、Hong Kong Academy for Performing Arts 卒業(コンテンポラリーダンス専攻)。現在はポルトガルの Performact に在籍。2023年に West Kowloon Cultural District と協働し、香港からの選出アーティストとして『Movers Platform #4』(ヨコハマダンスコレクション2023)に出演。2023年には『Solo Together』、『To Pass On』、『Avoubis』、『New Force In Motion』(2023シリーズ)に出演したほか、並行してPV/MVにも出演多数。2021年、自身の振付作品『I Can’t Breathe』を発表。2022年には Hong Kong Circus にフルタイムのダンサーとして所属した経験もある。

© Nora Little

ウー・ヤット・ヘイ

香港を拠点とするダンサー、俳優、パフォーマンス作家。Hong Kong Academy for Performing Arts でコンテンポラリーダンスを専攻し、シンガポールのクイック・スゥイー・ブーン(シンガポール)、リック・ノディーン(イギリス)、ジョン・ウタンズ(オーストラリア)らに学ぶ。卒業後はインディペンデントなダンスアーティストとして多様なアーティストと協働し、ジョセフ・リー『Unfolding Images: We Are Spectacles(s)』(2021)、テアトル・ドゥ・ラ・フイユ『The Lost Adults』(2021)、MWダンスシアター『The Formidable Year』、サムソン・ヤング『TechBox:The Travellers and The Listeners』(2023)等の作品に出演。2024年には香港北東部の沙頭角でボーダーアートのリサーチを目的としたコレクティヴを立ち上げて活動を開始した。

© Hung Kung

KT ヤウ・カーヘイ

香港を拠点とするインディペンデントなアーティスト。Hong Kong Academy for Performing Arts でコンテンポラリーダンスを専攻し、2013年に優秀な成績で修了。2013年から14年に香港のダンスカンパニー Y-Space に所属、2016年にイスラエルのベルティゴカンパニーで研鑽を積み、ダンサーとして香港の有名なフェスティバルや劇場に出演する。2013年から2014年に、香港のダンスカンパニー Unlock Dancing Plaza でダンサーとして活動。その後、レジデント・コレオグラファーとなり、振付作品の発表を始める。身体、精神、社会に関する慣習的な概念を覆す作品は革新的で示唆に富み、2018年には第20回香港ダンスアワードの新進振付家賞を受賞。スウェーデン、日本、シンガポール、上海、広州でも上演している。